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  To be, or, not to be          1月22日

デージー(雛菊) / キク科の一年草。花期は2〜5月、次々に咲き継いでいくようすから、延命菊、長命菊の別名もある。日本では一年草として栽培されるがヨーロッパでは全土に自生する宿根草である。花は日の出とともに咲き、日が暮れると閉じるその几帳面さが誠意の象徴として中世の騎士の間で尊重されたためイタリアでは国花にもなっている。英名のデージーの由来は諸説あるが、「太陽(デイズ)の目(アイ)」からきたという説は、その姿からは納得できる。(参考:花ごよみ花だより 八坂書房)

▼先週末、アメリカも含めて世界各地でイラク攻撃反対の集会が催された。単独攻撃も辞さない強気のアメリカにブレーキをかける市民の声が一気に強まる気配である。この戦争は、20世紀型の国家主義とインターネットなどの台頭による21世紀型のグローバリズムの本格的なせめぎあいになる。もしアメリカが単独でも戦争に突入すれば、その結果はどうであれ、アメリカはその後、孤立の道を歩むことになると思う。
▼20世紀は、これまで世界を制していた欧州を踏み越えて、突然国際社会に登場したアメリカの一人勝ちに終った。そのアメリカの一国大国主義を乗り越えるものとして、21世紀の人類は強力なネットワークを手にして次のステージに入ろうとしている。国境を越えたグローバリズム、EUやIMF,そして国連のような国際機関が高度情報ネットワークにより緊密に連動して高次元の意志を形成していくことにはまちがいない。それを甘くみると、アメリカは孤立する。それが心配だ。アメリカの友好国の国民の一人として、アメリカが仕掛けようとしている戦争は「不必要な戦争だ」と主張したい。

▼今日、フランスのシラク大統領とドイツのシュレーダー首相が会見し、イラク問題については査察延長、強化を第一に戦争回避に向かうことで一致した、と発表した。これに対して、アメリカのラムズフエルド国防長官は「フランス・ドイツだけが欧州ではない。フランス・ドイツは古い欧州だ」と切り返して対抗したが、本当にフランス・ドイツのスタンスは古いのだろうか。
▼同じようにロシアも戦争回避の立場を表明した。こうした国々がなぜ戦争回避を主張するのか?それは、イラク国内の石油採掘の利権を確保するという目論見があるからだという見方もある。言ってみればこの戦争もイラクの石油の利権を巡る戦争だという。しかし、それについてももっと考えなければならない。「石油戦略から見たイラク攻撃」というテーマについては後日、じっくり考えてみたいが、どうもこれだけ石油が国際商品としてグローバルなマーケットを形成している中で、各国の「資源囲い込み」という,いってみればこれまでの帝国主義的な観点だけを前面に押し出して考えを進めるのには無理があると思う。
▼アメリカの偉大な生物学者、リン・マーグリス博士の言葉をもう一度引用したい。「地上の生命進化は、あるものが他を打ち負かすというゲームではありません。生命は数学的なゲーム理論で言えば、ノンゼロサムゲームなのです。ゼロサムゲームとはチェスやピンポンのように一方がロスした分だけ相手が勝つゲーム。ノンゼロサムゲームとは一方が勝ち一方だけが負けるとは限らないゲームです。生命は多くの人が考えるより、はるかにノンゼロサムゲーム的なのです。」  
 このイラク攻撃を巡っては、国際関係の本質は主権国家間の紛争によるパワーゲーム(ゼロサムゲーム)だという立場と、これからの国際関係はグローバリズムの進展により協調的に展開でき国家間はよりノンゼロサムゲーム的になろうとしているという立場との葛藤が鮮明になっていくと思う。「いたずらに反戦運動することはイラクのプロパガンダに利用されるだけだ。軽率だ。」という声は、インターネットにより個人が緊密に結びついたネットーワーク社会の膨張力をあまりにも軽んじていると思う。

▼さて、きょうの花デージーは、ヨーロッパでは占いによく使われるという。多数ある花びらを一枚一枚抜きながら「愛してる」「愛していない」「強く愛している」とやっていき最後の一枚で占う。
 イラク攻撃について「武力行使」「査察強化」「武力行使」「査察強化」・・・・国際社会の迷走はしばらく続きそうだ。
                         
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