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   芳しい返信メール      10月9日

キンモクセイ(金木犀)/ キンモクセイ科モクセイ属。 中国原産で、17世紀末頃、日本に渡来。木肌が犀(さい)の肌に似ているので木犀と書く。中国名を「桂花」といい、「桂花茶」は花びらを緑茶に混ぜた飲み物。「桂花陳酒」は花精油を白ワインに混ぜ熟成させたもの。楊貴妃の酒と言われる。花言葉は、高貴な気品。

▼ 華やかな花の季節を潜り抜け、公園や路傍の野花が少し落ち着く頃、心地良い冷気に乗って、キンモクセイの甘い香りが舞い込んでくる。キンモクセイの香りは遠くからも風に乗ってやってくるので「九里香」とも言う。甘づっぱい冷気を大きく吸い込んで、「ああ、もう秋だな」と実感する。芳香が秋の深まりを告げてくれる。このあとまもなく、街は紅葉に染まっていく。

▼9月28日の「雨を降らせる仕事」で、都立西高校の記念祭について触れたが、昨日、アメリカから思わぬメールが届いた。紹介した高校生の演劇サークルのOB,,Kさんからの便りだった。

はじめまして私は西高の卒業生で、kというものです。

先日後輩から、あなたのホームページに記念祭の様子が記されていると聞き、
早速拝見させていただきました。
 
サークル志記は、五年前に私より一つ上の先輩方が創めた団体で、私もその一員として、創立時から三年間仲間達と舞台を作ってきました。
これは私の高校一番の思い出で、卒業後も秋が近づくと、記念祭の様子が気になってしかたありません。
しかし現在アメリカに留学しているので、学校を休んで西高に駆けつけるのも容易ではなく、いつも残念な思いをしておりました。
 
ですから誠文堂のページを読ませていただいて、安心しました。
「毎年芝居の趣向は変わるけれど、きっと今年もいい舞台になっただろう」と期待はしていたのですが、見に来てくれた人たちの胸にも残るような仕事をしてくれたのだと分かって、とてもうれしかったです。どうも有難うございました。」

 
▼ さらに今朝、パソコンを開いてみると、サークル志記が演じた戯曲「イン・ザ・スカイ」の作者、後藤雄一氏からもメールが届いていた。後藤氏は今年31歳。 現在、京都で、劇団「はいてっくくねくね」の主宰として、脚本、演出、宣伝美術を手がけている。

 「メールありがとうございました。
都立西高の皆さんの頑張りが伝わってくるようで嬉しかったです。
また、脚本の細かいところまで読み取って下さって大変嬉しいです。
嬉しいので周りにも、このご感想を見せちゃってよろしいですか(笑)
いつかは東京公演を、と思ってはいますが、なかなか演劇界の壁は厚く、
思うようにはいきませんが、励みにしてこれからも頑張ろうと思っております。

こちらは9月に公演が終わり、次回公演は来年5月ですが、もう新作の構想に入って入
る段階です。病身の妻の為に医療機器を作り続ける科学者の話で、家族や夫婦の絆み
たいなものを真っ正直に書いてみようと思っています。不器用な書き手ですので、直
球勝負しかできないのですが(笑)

東京では、10/24〜25に普連土学園高校の演劇部の方々が学園祭「インザスカイ」を、
同じ日に日本大学医学部演劇部が日本大学医学部記念講堂にて「Blizzard」を上演し
ていただける事になっています。よろしければ是非足をお運びください。」

▼こういう清々しいメールを受け取ることができた時、インターネットは素晴らしいと思う。気休めにとりとめもなく打ち込んでいるこんないい加減な作業でも、点在する様々な思いをつなぐ、ことになるのだな、と少しばかり悦に入っている。

 「草木花便り」を始めて9ヶ月、時折、届けられる見知らぬ人々からの返信メールは、冷気とともに舞い込んでくるキンモクセイの香りのように心地良い。
                          2003年10月9日
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