優しい花に刺される 5月5日
ノアザミ(野薊)/ キク科の多年草。日本にはアザミの種類が多く、晩春から初夏にかけて咲くグループと秋に咲くグループがある。
「アザミ」の種類は日本だけでも80種もあり、世界では200種を超える。アザミの葉先は大きい切れこみがあり、先端は鋭い棘になっている。アザミ(薊)の由来は「花に魅かれて触ると葉のトゲに刺される」つまり「あざむく」が変化してアザミとなった。薊という漢字は「魚の骨のような刺のある草」という意味を表した文字。文字通り込みがあって、先端は鋭いトゲになっている。中にはヒレアザミ類のように茎にまで棘があるハリネズミのようなものまである。
スコットランドには、10世紀中ばデーン人に侵攻された時、敵兵がアザミのトゲに刺されて悲鳴を上げたため、夜襲を免れたという伝説もある。ちなみにスコットランドの花はアザミで、図案化されて国章にもなっている。
花言葉は「触れないで」。
▼ これほど接写レンズと相性がいい花もめずらしい。その淡い紫と独特の花容に魅了されて、どんどん近づく。するとその花の前に茎のようなものがフレームインして花をさえぎる。「邪魔だなあ」と思い、茎を払いのけようと人差し指を差し出した、その瞬間、棘は指を突き刺し、赤い血が流れる。「ほんとうにばかだな。」何度、同じことを繰り返すのか。引けば、アザミに棘があるのはわかっているのに、いったん、近づきはじめると、もう忘れ、あっというまに、襲撃を受ける。この愚かな行為を何度繰り返したことか。「触れないで」なんて思わせぶりな花言葉を持つものだから、気がつけば、また触れてひどい間にあっている。自分の愚かさに呆れながら、それを優雅な笑みで見ているようなアザミの淡い紫をやっぱり優しく美しいと思ってしまう。その繰り返しだ・・・・。
うれしいことも
かなしいことも
草しげる
山頭火
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