消えたマングローブ    1月2

キンセンカ(金盞花)/キク科キンセンカ属。地中海沿岸原産の一年草。寒さに強い花で暮れから3月ころまで咲き続ける茎の先端に径5〜6cmの花を一個つける。舌状花は赤味を帯びた黄色系で花色の変化が多く,重弁品も多い。室町時代の末期には渡来、唐金盞花とよばれていたので中国経由で入ったと思われる。花言葉は乙女の美しい姿・失望・悲しみ・用心深い・悲嘆・別れの悲しみ、不安・疑惑・嫉妬(仏)
黄色い金盞花の花言葉は、悲歌・繊細な美。橙色の金盞花の花言葉は、静かな思い
        
▼日本のマスコミが石油危機という言葉を踊らし人々がトイレットペーパーを買いあさった1973年、商学部の学生だった私は、その空気に乗って躊躇することなく「エネルギー商品学」を選考した。その時、インドネシアのスマトラ島の最北端にあるアチェのことをはじめて知った。石油に代わるエネルギー資源の確保が急務とされた日本は、このスマトラの海底資源に目をつけた。アチェの液化天然ガス(LPG)開発のために日本は300億円の借款を供与し、ここにLNG精製工場を建設した。アチェで精製されたLNGのほとんどは今も日本へ輸出されているはずである。
▼LNG工場の建設のために豊かなマングローブ林は伐採され、LNG圧縮のための冷却水は海に流され環境破壊が進んだ。日本のエネルギー確保の道筋を辿っていけば必ず、こうした現場にたどり着き、うんざりしてしまい、卒論のテーマは、結局、石油や天然ガスとは全く関係のない、インドの牛糞のリサイクルにした。

▼その後、アチェでは分離独立運動が激しくなり、国軍との衝突が繰り返されてきた。国軍は日本の借款で建設したLNG工場を民衆弾圧の拠点とし工場の中で拷問を繰り返していると聞いた。(「インドネシア民主化支援ネットワーク」の資料より)
▼インド洋大津波が迫りきた沿岸にもし、マングローブの林が生い茂っていたら、その狂った波のエネルギーは幾分なりとも林に吸収されていたにちがいない。真冬の日本を暖めるアチェの天然ガス、そのために伐採されたマングローブ、その剥ぎ取られた海岸を容赦なく襲った「TUNAMI」、そう考えていくととアチェの惨事はますます人ごとではない。
                      2005年1月2日