ユリノキはいいなあ
        2005年11月20日  

ユリノキ(百合木) tulip tree

モクレン科ユリノキ属

葉先が平たく、ちょうど半纏のような形をしているので別名ハンテンボクともいう.。初夏の頃咲く花がチューリップに似ているので英名はチューリップトリーという。樹皮は黒灰色で縦に割れ目ができている。北米原産の落葉高木。
幼い葉は托葉(たくよう)に守られてでてくるが、葉が開ききると托葉は落ちる。

▼大学時代使っていた古いカメラを引っ張り出し、久々に写真撮影を始めたのは7年前だろうか。その頃、かつてない憂うつな精神状態に襲われていた。今から思うと、あれは更年期障害ではなかったのか、と思う。何をやっても集中できず、いらいらとしたあせりだけが空回りしていた。そんな時、ひょんなことから、カメラを片手に公園を歩き、所在なく上を見上げて撮影したのが、晩秋のユリノキだった。フアインダーの中に飛び込んできた、そのすくっとどこまでもまっすぐ伸びる樹形と、黄金色に輝く独特の大きな葉っぱに、なぜかほっとする感覚を与えられた。久しぶりに体の奧から、新鮮な好奇心がわき起こってくるのを感じてほっとした。植物写真という小さな趣味はこうして始まった。

▼数あるユリノキの中で最も印象的なのは、なんといっても新宿御苑のユリノキだろう。ユリノキが日本に入ってきたのは明治7年のことである。その初代のユリノキが今も、新宿御苑の中央広場で堂々と聳えたっている。樹齢は130年にもなる。初代は3本、高さは50メートル近くもある、それは見事な巨木だ。仕事やもろもろのことで疲れたら、私はこのユリノキの下にくる。木の下の芝生に寝っ転がり、本でも読んでいると、一気に気持ちが晴れてくる。本当にお世話になっている。









天に伸びた巨木に下に、
蟻のように小さな人々が、吸い寄せられるように集まってくる。









































 ユリノキはいいなあ。心にもやもやしたものがあって、何をやっても気もそぞろな人は、一度、新宿御苑のユリノキの下で、
寝転がってみることをお薦めします。

                      2005年11月20日