晩秋

        2005年11月21日  





 母のもとにかけよって
 その子は黄金色の
 葉っぱを自慢げに
 差し出した。
 そして、
 母の満面の笑みを
 確認すると、光に乱反射す る黄金の一枚一枚を
 そっと舞い落とす。

 姉の呼ぶ声がした。
 振り返る妹の、
 その小さな手に、
 姉はきれいにそろえた
 金色の束を添えた。

 妹は再び母のまえで
 その光をかかげる。

 
どこかに、いつまでも
 しまっていてほしい。

 晩秋のあの日、
 母とともに、あの樹の下で
 柔い黄昏の光と溶け合い
 ながら過した、至福の時。
2005年11月21日