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  山頭火・句碑探訪 B    2007年 11月25日

  
ふるさとの学校のからたちの花

   <建立場所>
山口県防府市東松崎町
1−1 松崎小学校

<建立年月日>
 昭和60年11月3日

















<建立者>
松崎小学校・PTA・同窓会
<揮毫者>
 富永鳩山

<碑石の種類>
 花崗岩





◇山口県防府市立松崎小学校は私の出身校である。もう40年もの昔になるが、当時は木造校舎で、毎日ぬか雑巾で磨いた廊下はぴかぴかだった。西門の大きな花崗岩の柱もはっきり覚えている。木造校舎が鉄筋コンクリートの校舎に建て替えられのはいつ頃だろうか。なんともったいないことをしたのだろうか、今も思う。
◇昭和60年に校舎の一画に山頭火の句碑が建てられた。碑石は、旧西門の門柱が再利用された。花崗岩の門柱には「ふるさとの学校のからたちの花」と書かれた。揮毫者は富永鳩山氏だ。富永氏とは今回、母のことで近しくなった。情熱的な富永氏の勢いがそのまま乗り移ったような筆さばきが、なつかしい門柱に刻まれているのが爽快だ。
◇山頭火は明治22年にこの松崎小学校に入学し、6年間をここで学んだ。当時は小学校の周囲を「からたち」の生垣が囲んだ。40年以上を経て、54歳になった昭和10年の4月23日、山頭火はこの句を詠んだ。久しぶりに母校を訪ねたのだろう。その時、学校の回りを、昔のように、からたちの白い花が咲き誇っていたにちがいない。初老の心は、からたちの花と共に少年時代に飛んだ。


◇母の葬儀の後、いろいろ雑事を片づけるために故郷に残った。母の自転車をこいで市役所や社会保険事務所など行き来する合間、ここに来た。奇しくも、句碑の前に立つ私も54歳。戸惑いながら無様に不安定な男となって今ある自分、誇れる存在ではまるでないが、なんとかここにいる。       
 ※参考(山頭火句碑集:山頭火ふるさと会)←山頭火句碑探訪トップページへ

                          2007年11月25日
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