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           穏やかな花森
         2008年3月31日

  ミモザアカシア
Acacia Millor decurrens Willd
   マメ科アカシア属
 別名、アカシア。ミモザ。


オーストラリア南東部を原とし、オーストラリアの国花。明治の末期に日本に入ってきた。
 常緑の高木で生育が早い。春、黄色い毛糸玉のような小さい花を房状につける。
 ミモザとはオジギソウなどの合歓の木科の属名。イタリでは3月8日を「ミモザの日(Festa della donna」とし、日頃の感謝をこめて男性から女性にミモザの花を贈る。

モザアカシア全般の花言葉は、真実の愛・秘愛・優雅・友情・秘めた恋
ミモザアカシア(黄)の花言葉は、秘密の愛  ミモザアカシア(葉)の花言葉は、誠実な愛


「桜が満開、きれいだから見に来ない?」と誘われるままに、多摩ニュータウンの親戚、Nさん一家を訪ねた。あいにくの雨模様になったが、駅前で待っていてくれた姪に導かれて、ニュータウンまでを歩いた。その道筋は、あらかじめ叔母が姪に指定していたらしい。花曇りの見事なソメイヨシノの桜道を抜け、ちょっと横道に逸れれば、そこはハクモクレンの並木道になっていた。ニュータウンといえ、このあたりの尾根筋の自然は万葉の昔から人々の心を和ませてきた
多彩な花園の中で、この日、心に残ったのは、曇り空の薄暗い街路のあちこちに、はっとする明るい黄色の花房を披露する、ミモザアカシアの苑だった。それは、Nさんの家の玄関先にまで、まるで道標のように咲き誇っていた。
▼Nさんの家では手料理でのもてなしを受けた。心優しい娘二人と暮らすために、Nさん夫妻は山口の岩国から数年前にうつりすんだ。娘達は、両親が東京に棲んでも自然に親しみながら好きな俳句がどんどん創作できるようにと、万葉集にも詠われた「よこやまの道」界隈のこの場所を選んだ。その娘達の構想に夫婦は快く包まれ、今ではニュータウンの人々の交流の要となり、住民達と句を読み、花を生け、お茶とたて、心穏やかに暮らしている。そんな姿を見ていると、ふと故郷に母を一人置き去りにし逝かせたことが心を過ぎる・・・、、おっといけない、いけない、こんなことをグダグダ書いてもなんにもならない。迷惑なだけだ。

▼N家の家長、Nさんは、親父と同じ九州出身らしく、厚い眉毛をしている。人なっつっこい表情は、これも親父のようで、この地方出身の男独特の風情だろうか。商船学校を出て、世界の海を渡った。その現役時代の話に、心づくしの手料理をつつきながら耳を傾けるのは実に心地よい。
▼今宵、Nさん宅の庭先のミモザアカシアとともに、掬い上げておきたいのはNさんの言葉だ。話があのイージス艦事故の話におよんだ時、叔父は、若い頃、たたきこまれた「船乗りの肝心事」を反芻した。忘れてはならない船乗りの矜持にあふれたその言葉がなによりのもてなしであった。父のいつもの話がまたはじまったとばかりに、ニコニコする娘達の笑顔も華やかだった。春、多摩ニュータウンは花満開、和やかな休日となった。


▼次の日、Nさんから葉書が届いた。忘れないように、その文章を書き留めておこう。
 
 ◇昨日は久しぶりに会えてよかったです。
  船乗りについて、肝腎の事、整理します。
  「船乗り(商船士官の意味)ですが海軍士官でも」

     1、スマートで、  で始まります
    この場合のスマートとは行動の規範で迅速そして正確と無駄のない、を意味しています。

     2,男らしく、
    もたもたするな、です。即決、即断です。もたもたするな、船は沈むのを待ってはくれない、    と言われたものです。昔で言えば船板1枚下は地獄なのですから
     3,几帳面、
    誠実であれ、怠けるなでしょう。
     
4,負けじ魂を持て
    人に遅れをとるな、誇りと自信をもって行動せよ」

 となります。今となってはいつ頃までこの教育が通用したかはわかりません。旧軍隊並みの全寮 生活でしたので上級生が下級生を指導したのでした。
 では  」   


 N家のみなさんの「もてなしの心」への返しとし素人拙句
       穏やかにミモザ華やぐ横山路
     

2008年3月31日