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 ドクダミ   ドクダミ科ドクダミ属          

 北海道をのぞ日本全土、中国、東南アジア、ヒマラヤに分布する多年草。一種類で一属をなす。5月〜7月、茎の上から伸びた花茎の先に淡い黄色の穂状の棒をつける。白く4枚に開いているものは苞と呼ばれるもので、実際のドクダミには花弁もがくも片もなく、黄色の部分は雄しべの先端の葯が密集したもの。


名前の由来は、草に独特の臭気があるために、何かの毒が入っているのではと思われ、「毒溜め」と
呼ばれるようになり、ここからドクダミになったと言われる。
匂いはきついが、ドクダミは「毒溜め」どころか、万病に効く薬草である。1708年に出された「大和本草」には馬の資料に混ぜて飲ませると十種の効用があるので十薬(じゅうやく)という記述がある。花期に根を含めた全草を採取し
軒先に吊るして一日乾燥し日干しし、その後、半陰で完全に乾燥する。便秘、水虫、蓄膿、皮膚病などに効く       (
e-yakusou.com より)

▼雨上がり、ドクダミの葯に小さなアリが集まっている。蜜を吸いにやってきたのだろう。薬草のドクダミからでる蜜はさぞかし健康にいいだろう。
 反対方向からよじ登ってきたアリ同士が出会う。それぞれの触覚を触れ合いグルーミングを始める。
▼アリの体表は様々な炭化水素の「ワックス層」で覆われている。その組成はアリの種類ごとに異なり、その化学成分を互いに舐めとりながらアリは自分と同じワックスを持つ仲間かどうかを嗅ぎ分ける。もし仲間でないとわかると熾烈な闘いが始まることになる。
▼アマゾンの熱帯雨林を、何十万匹の軍隊アリが行進する。枯木葉や枝に隠れていた虫たちは、その巨大な軍隊アリに次々と襲われていく。しかし、その群れの中を目を凝らしてみると、全く別種のアリも行進に加わっている。最初、違うワックスを身に着けている別種のアリに軍隊アリは次々に触り、仲間であるかどうか確認する。別者だとわかると襲われることが多いが、中にはペタペタと触られているうちに軍隊アリのワックスを塗りこまれ、仲間と認知され行進の中にうまく紛込んでしまうものもいる。大きさも形もまったく違うアリが一緒になって行進している光景は、滑稽でもあるが含蓄に満ちている。
▼コンクリートのビルの中、最近の仕事は根回しのために各部署を歩き回ることが多い。迷路のような廊下を歩き、行った先で些細な会話をしてエールを交わす、それはアリのグルーミングのようだ。エールを交わしながらお互い敵か味方かさぐりあっているのか?やがて自分は軍隊アリの大行進に襲われてしまうのか?それとも寄ってたかってペタペタされた末に、すまし顔して行進に加わっているのだろうか? ( 参考:自書「生命40億年はるかな旅 昆虫たちの情報戦略」)

▼再び雨が降ってきた。暗くなった空の中で、ドクダミの横に咲くガクアジサイのブルーが鮮やかさを際立たせる。やはりアジサイは雨の日だ、レンズは小さなアリの世界から抜け出し、一面コバルトブルーの世界に飛び込む・・・

                          2003年6月17日
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