マツムシソウ(松虫草)
マツムシソウ科マツムシソウ属
◇高原に秋の到来を知らせる。和名の由来には、松虫が鳴く頃花が咲くからという説、花が仏具の松虫鉦に似ているからという説、謡曲「松虫」にある松虫塚に咲く花のことだからという説がある。どこか毬を思わせる花の姿から玉毬花ともいう。別名、スカビオサ(西洋松虫草をさすことが多い)。英名、ピンクッションフラワー。
花言葉は、未亡人・恵まれぬ心・私はすべてを失った・喪失・再起、不幸な愛情・不幸な結合(英)、あなたは私を見捨てる(仏)
▼秋の高原ではっとする光景に出会う。草原を敷き詰めたマツムシソウの空色。その空の中を漂う雲のように黄色いオミナエシの花群れが現れる。二つの色の混生はとても偶然の産物とは思えない。
▼およそほめられることの多い花言葉の中で、マツムシソウに与えられた言葉は、余りにも過酷だ。「未亡人」「恵まれぬ心」「私はすべてを失った」「喪失」「不幸な愛情」「不幸な結合(英)」「あなたは私を見捨てる(仏)」 よくぞこれだけ不快な言葉を浴びせたものだ。草原で懸命に咲く姿のどこにこのような不吉な言葉が浮かぶ素地があるのか。その不吉な空色の中を水平に進む黄色いオミナエシの花雲に与えられた花言葉は、それに比べると美しい。「美人」「永久」「真実」 一つくらいマツムシソウに分けてほしいものである。
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