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   道草 「 龍舌蘭を見に行く」   
                               2003年8月12日

 リュウゼツラン(龍舌蘭) / リュウゼツラン科。メキシコ原産の多肉植物。花言葉は繊細。

7月29日の朝日新聞「天声人語」を読んで、「今年の8月12日はこれだ!」と心に決めた。まずは天声人語から・・

▼『 遠くから見ると、まっすぐ伸びた松のようにみえる。近寄って、初めてお目にかかる花であるとわかった。東京都
中央区の浜離宮庭園で、55年目に開花したというリュウゼツラン、漢字で書くと龍舌蘭である。





















メキシコ原産で、一生に一度花を咲かせることで知られている。いつ咲くかはわからない。ふだんはアロエのような肉厚の葉が地上で横に横たわる。ある日突然、花茎が天に向かって伸び始め、みるみる高くなったすえ、花開く。つかの間の高揚期を過ごした後枯死する。劇的な生と死である。・・・・(以下略)」(7月29日 天声人語より)

▼ 昼休み、会社を抜け出し、浜離宮庭園に向った。キバナコスモスの群生の向こうに、その龍舌蘭はあった。説明の札によると、英語名はセンチュリー・プラント、一世紀に一度咲く、というところからきた。この庭園の株は1948年に植えられたので55年目の開花である。5月初旬から突如、花茎が伸び始め毎日10センチ以上の勢いで天に向った。開花は7月21日にはじまり花は下から順に上へと咲いていく。
▼少し訪ねるタイミングが遅かったのか、下の方の花は枯れはじめているように見えた。手持ちの望遠レンズで映してみたものの、花の全貌は漠然としている。詳しく知りたい方は、奈良教育大学のホームページにアクセスすることをお薦めする。1999年の夏の開花をビデオを駆使して詳細に記録している。http://kaede.nara-edu.ac.jp/agave/

▼私事で恐縮だが、1953年8月12日の炎天下に生まれた。今年でちょうど半世紀を生きたことになる。30代とも40代とも違う思いが50と数字にはある。未来への漠然とした可能性や幸運への期待といったものは消えうせた。自分の限界もはっきり見える。才能や組織といったものに自分を託すことはできないと自覚している。さてその上で、どう生き抜いていくのか,その覚悟が必要だと痛感している。
自分の器にあわせた自分なりの花を咲かせたい、と思う。葉隠れの言葉 「五十ばかりより そろそろ仕上げたるがよきなり。 その内は諸人の目に立身遅きと思うほどなるが、のうぢあり」

▼夏の青空にすくっと天空に向う龍舌蘭の花。人々が忘れた頃にぐんぐん伸びて一世一代の花を咲かせ、去っていく。潔いではないか、かっこいいではないか、これを50歳の自分に贈ろう。
 
                          2003年8月12日
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