紫色のカーネーションの花言葉
5月9日
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▼きょうの話は、今年の一月、ふとしたことから始まった「"職場のリルケ"と"山辺の里の女(ひと)"からの花便り」の第三話である。興味ある人は、第一話1月25日 冬の薔薇、第二話 ある四月から をクリックして読んでください。
▼舞台は再び、山辺の里。その女(ひと)のもとに再びリルケ≠ゥら花束が届いた。5月9日、母の日。贈られてきた花は初めて見る紫色のカーネーションだった。人が改良を重ね、最近、世に出した紫色の花弁、一月前、その色合いを見たリルケ≠ヘ、この花をあの人に贈ろうとすぐに決めた。花は予定通りの時刻に、いつもの配達人のバイクに乗って、山辺の里に運ばれた。
▼程なく、その女(ひと)から短い手紙が届いた。手紙には、山辺の里に素敵な場を得た紫色のカーネーションの姿がいろいろなアングルで撮られていた。その一枚一枚を見せてもらいながら私は、嬉々としてその花束を家の様々なお気に入りスポットに置き、シャッターを押す、その人の風景を想像し、愉快な気持ちになった。おこぼれを頂戴した。
▼ "山辺の里の女(ひと")がリルケ≠ノ返した言の葉。
「 母と二人、しばしの"現実逃避"をさせていただきます。カーネーションの明るい紫色は、決して派手で自己主張するのではなく、といって暗く沈んだ色というわけでもなく、とても奥深い素敵な色ですね。」
▼ その言葉を手にしてリルケ≠ヘ想う。「その色はまるで君のようだ。」
▼1910年頃、アメリカで一人の女性が亡くなった母を偲んで、教会に来た人々に白いカーネーションを配った。それがいつのまにか母への感謝をこめて、カーネーションを贈る風習へと膨らんでいった。日本へは戦後伝わって、母に敬意と感謝をこめて赤いカーネーションを贈り、母を亡くした人は白いカーネーションを供える習慣になった。カーネーション全般の花言葉は「女性の愛」、赤いカーネーションの花言葉は「あなたを熱愛します」 白は「私の愛は生きています」新しく世に出たばかりの、明るい紫色のカーネーションにはまだ花言葉はない。
▼その新しい花に「謙虚な愛」という花言葉を与えたい。 <つづく>
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