尾道の律儀な人    927日











▼NHKスペシャル「マリナ〜アフガニスタン・少女の悲しみを撮る〜」をこのホームページで紹介したのは昨年の6月である。(忘却への抵抗 2003年6月21日) その中で、「もしビデオを見たい方はご連絡下さい。テープをお貸しします。」と書いたのだが、その後、検索してこの文章にたどり着いた人々から、「ぜひテープを貸してください。」としたメールが何通も届く。そして、それをきっかけに、この「草木花便り」を知ってもらうことになり、今度は「草木・・・」についての声が届く。インターネットの楽しさはこんなところにある。
▼先日、尾道のOさんから届いたメール。
広島県に住むOと申します。
 NHKスペシャル 「マリナ〜アフガニスタン・少女の悲しみを撮る」の放送についてネットで検索していて、当HPにたどり着きました。美しい花の写真に心癒されながら、マリナについての文章を読みました。
 わたしもNHKスペシャルの番組を観て、何の気なしに見始めたのですが画面から目が離せなくなりました。先日ようやく、愛媛県で「アフガン零年」を観る事が出来、また昨日東京でもう1回観る事が出来ました。衝撃でした。
 知人にこの番組と映画の話をして、昨日の映画に同行したのですが、やはりNHKスペシャルの番組を観る事によって、さらに理解が深まるのでは?と考えています。NHKに再放送のお願いメールを出したのですが、そう簡単に再放送がされるとも思えないので、半ば諦めかけていました。わたしは、NHKスペシャルのテレビ放送は録画できていないのです。HPの文章に、「手元にテープがあり、メールをいただければ・・・」との内容があり、すがるような気持ちでメールをさせていただいています。もし可能でしたら、テープを貸していただけないでしょうか?」
▼さっそくテープを送った。しばらくしてテープが返送されてくる。そこにはこんな手紙が添えられていた。
「夢の誠文堂店主さま
この度は、貴重なビデオテープをお貸しいただき、まことにありがとうございました。心より御礼申し上げます。

 NHKスペシャル「マリナ」の放送は2回見たのですが、いずれも画面に引き込まれてしまいました。日本の物質的に恵まれた社会にいる自分たちと、同じ時代を生きているはずのマリナたち。余りの境遇の違いに絶句したと同時に、今も悲しみと共に生きている人がすぐ近くにいる、ということを自分がまったく知らなかったことを心から恥じた次第です。本当によいドキュメント番組だと思います。ぜひ、再放送されることを望んでいます。
 まもなくアフガニスタンでは大統領選挙があります。隣国イラクを含め、中東情勢は予断を許しませんし国家間・民族間の関係は非常に複雑で、アフガニスタンや中東関係、イスラム教に関する本を読んではいるのですが、自らの理解には程遠い状態です。本当に難しい問題だと思います。それでも、マリナのような子供・女性が誇りと尊厳を持って平和に暮らせる社会を取り戻して欲しいと心から願っています。
 貴重なビデオをお貸しいただき、本当にありがとうございました。また一つ、視野が広がった気がします。心から感謝いたします。」


▼その律儀な手紙が届くのと同時に、メールを受信する。そこには「草木・・・」のための文章、それに花写真が添えられていた。
 
 「わたしの住む尾道は古い港町であり、坂の町、寺の町、最近は「尾道ラーメン」でよく知られています。尾道市では先の台風18号の被害も多少あったのですが、わたしの住む辺りは風雨が強い以外は特に被害はありませんでした。

 青空を見上げれば雲は高く、近くの田んぼの稲も黄金色に変化をしつつあり、秋の気配が感じられる今日この頃、河の土手に赤い花々を見つけました。彼岸花です。
 緑の草、黄金色に変化しつつある田んぼをバックに、赤い花が転々と咲いています。葉と花を同時に見る事が無い彼岸花はとても不思議ですが、それだけに印象に残る花です。
  写真を撮ろうと彼岸花に近寄ると、偶然アゲハチョウが花に止まりました。小さな彼岸花の花の上を踊るように飛び移りながら蜜を吸い続けています。この彼岸花も真っ赤ではなく少し白くなり始めていて、花の命がそれほど長くないのを感じました。そして同じく残りの命が短いであろうアゲハチョウ・・・。2つの柔らかい命同士の出会いを、わたしも優しく見つめる事が出来ました。
 終わりゆく夏に見た1つの美しい出会い。季節は静かに流れていきます。」

▼ Oさん、ありがとうございます。またいつでも写真が撮れましたら送ってください。必ず掲載します。それにしても彼岸花に集まってくるはアゲハチョウだとどうしていつも決まっているのだろう?
                      2004年9月27日