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   そよ風 吹く    5月21日

団地の先輩、Yさんから可憐な植物の写真が送られてきた。Yさんについては今年に入って二度書いた。
1月3日アロエの花咲いた4月25日新緑の紅葉と1000の風。4月25日、Yさんの手紙の中でカタクリの花とイカリソウのことが瑞々しい文章で語られていた。その時、約束してくれた写真が送られてきたのだ。
「…………11日の日曜日に 福井の兄貴の家から10分くらいの丘にカタクリの花を見に行きました。時期的には1週間くらい遅かった感がありました。兎に角 道の直ぐ横を 山斜面にびっしり片栗が咲いてました。私の好きな花の一つで感激しました。田舎でしょうか 柵も看板もありません。通る人も 1時間に3人程度。昔 カタクリは芽が出てから 5年間は花をつけないと聞いたことが有ります。このびっしり咲いたカタクリだと 何十年も かかったと 思うとなおさら感激しました。又 イカリソウも咲いていました。恥ずかしいですが 写真を送ります。・・・」


今夜、届いたメールの中に入っていたカタクリの花、その淡い紫色が見事だった。その色合いを写真でとらえるのは難しい。ちょっとした光の強弱で、白くとんでしまうか、黒くくすんでしまう。届いた写真はその案配がちょうどよく、肉眼で見たときの感激がそのまま刻まれている。




▼ユリ科のカタクリ(片栗)は雪解けとともに一斉に開花する。高さ10センチから20センチの茎の先に5センチくらいの淡い紅色や紅紫色の花を咲かせる。雪国の福井に産まれ育ったYさんにとってカタクリの花には格別の思いがあるのでろう。雪の中から生まれ出たばかりのカタクリの紫を森で発見した時のときめきが、写真から伝わってくる。カタクリの花言葉は「初恋」。長楕円形の球根を砕いて水でさらし乾燥させると上質の「片栗粉」ができる。


▼カタクリの花写真にもう一枚添えられたイカリソウの写真。白い姿が愛らしい。花の形が船の碇(いかり)に似ているのでこの名前がつけられた。北海道南部から九州にかけて広く分布する。イカリソウの茎や葉を乾燥させたものを漢方では強壮強精薬として古くから用いられてきた。「ユンケル」など 多くのドリンク剤の成分にもなっている。生薬名は淫羊霍(いんようかく)といい、その語源は「本草綱目」から由来している。「西川(四川の北部)には、淫羊(発情した羊)がいて、1日に100回も交尾する。その羊は、この植物の霍(花霍)を食べているという。そこで、その植物を『淫羊霍』と名付けた。」とある。



▼ちょうど、Yさんがふるさとの森でイカリソウに出会った頃、私も板橋の植物園で、同じ白いイカリソウの花を見かけた。その一枚、返信として添えます。


▼イカリソウの花言葉は、「人生の出発 」。ふるさとに近い場所に広大な森を手に入れ、自分の王国を創ろうと
動き始めたYさんにふさわしい。 


                      2004年5月21日