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2014年02月05日

●クリスマスまでには帰って来れる

クリスマスローズ/キンポウゲ科クリスマスローズ属。
一重咲きの上品な花はバラに似ている。クリスマスの頃に咲くのでクリスマスローズと呼ばれ特にヨーロッパで親しまれてきた。花は3月末まで咲き続ける。原産地はヨーロッパ中部から地中海沿岸地方。花は白だが徐々に淡紫を帯びてくる。
花言葉は、スキャンダル・思い出を懐かしむ・私を安心させて・中毒、悪評・誹謗・発狂・追憶・慰め・私の心配を和らげて下さい。

▼ 公園にクリスマスローズの白い花が咲いている。清楚な姿だが、首をかしげるように花びらをうつむかせる様子は、憂いを含んでいる。クリスマスローズの花言葉の数々も、この風情からだろうか、悲しげで憂鬱なものが多い。

▼クリスマスローズの原産地はヨーロッパである。今から1世紀近く前の1914年の夏、ヨーロッパでこんな合言葉が流行った。「クリスマスまでには帰ってくる・・・」  

(以下、NHKスペシャル「 映像の20世紀 第二集 大量殺戮の完成 」より引用)  
 1914年の7月28日、第一次世界大戦が始まった。それまでの半世紀、ヨーロッパは戦争から遠ざかっていた。若者たちには戦争の記憶がなかっが、ドイツ帝国が宣戦布告をしたその日、450万人の若者が兵士として動員された。あるドイツ兵士の手紙、「とうとう明日午前11時、徴兵のために集まれという命令を受け取りました。今か今かと待ち受けていたところです。知り合いの若い女性に会いました。軍服でないのが恥ずかしいくらいです。僕はもう平和の時代の人間ではありません。自分のことや家族のことを考えると小さく弱くなりますが、祖国のことを考えると強くなれるのです。」
 欧州では一ヶ月で一千万人の人々が兵士として動員された。この時、国の指導者から出征兵士にいたるまで戦争は数週間で終わると信じていた。 従軍したオーストリア人作家ツバイクはこう記している。
 「あの頃は人々はまだ疑うことは知らなかった。ロマンにあふれた遠足、荒々しい男らしい冒険、戦争は3週間、出征すれば息もつかぬうちに戦争は終わる。たいした犠牲を出すこともない。私たちはこんなふうに1914年の戦争を思い描いていた。クリスマスまでには家に帰ってくる。新しい兵士たちは笑いながら母親に叫んだ。クリスマスにまた・・・・。」

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▼「クリスマスまでには帰って来れる」 100年前、 そう歌って嬉々として戦地に出て行った若者たちが、帰ってきたのは結局 4年後だった。

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