●赤い目
たった一人で雪をかき集め、ゆきだるまづくりに熱中する男の子の機敏な動きを感心してみていた。
語りかけてもまともに応えてくれず、ひたすら雪をかき集め、自分の身の丈ほどもある大きな胴体をあっという間に作り終えた。
そして、間髪入れず駆けだして、公園の隅にある紅梅の木に向かい、赤い花を二つ、素早く摘んで、戻ってきた。
何をするつもりか、と思っていると、少年は その赤い花を雪だるまに埋め込んだ。
「できた」初めて見せる笑顔の前に、赤い目をした雪だるまがいた。
そうか、はじめから、あの赤い花を目にしようという構想が少年の頭のなかにあったのか。
その自在な創造力に、こちらもなんだか満たされた気分になる。
紅梅二輪 目をもらって笑う雪だるま <綽迎雲>