●純白のサクラソウ
サクラソウ(桜草):サクラソウ科サクラソウ属の多年草。日本のサクラソウ類の代表で、日本では北海道南部、本州、九州の高原や原野に分布し、朝鮮半島から中国東北部へかけても分布するが、野生の群落をみることはまれになっている。かつて、埼玉から東京を流れる荒川の下流にはサクラソウの大群生地が各所にあり江戸時代の人々の行楽地となっていた。江戸中期、ここから株を堀り持って帰り、培養したのがサクラソウ園芸のはじまり。花言葉は神秘な心、勝者の寛容。
▼H氏邸のベランダに純白のサクラソウが咲いていた。普通、この種のサクラソウは淡紅色が多い。純白のサクラソウはめずらしい、さっそく、カメラにおさめさせてもらった。
▼あまり人付き合いが得意でない自分が、珍しく、H邸を再三訪ね、くつろいでいる。H氏の寛容なお人柄にもよるのだろうが、H婦人がいつもおおらかに歓待してくださるので、こちらもついつい甘えてしまう。婦人の作って下さるカレーライスの温かさは、なんともいえない。それがH邸を訪ねる目的となっているといわれても一概に否定できないから、情けない。
▼H邸のベランダには、ご夫婦の人柄を象徴するように、様々な野花がさりげなく配置され、雀も規則正しくえさをもらいにやってくる。その世話をしながら、流れる寛ぎの時間がいい。
▼「写真に撮ってもらったの。よかったね。」婦人がサクラソウに語りかけている。微笑み語りかけられるサクラソウは幸せ者だ、とカメラをしまいながらふと思った。