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2014年08月14日

●夾竹桃の花の下


キョウチクトウ(夾竹桃)  / キョウチクトウ科キョウチクトウ属。原種は地中海から南アジアに向けて3種類が分布。そのうちのインド原産種が江戸時代末期に渡来した。現在はこのインド原産種と、地中海沿岸原産のセイヨウキョウチクトウの二種類。排気ガスなどに耐えるので、街路樹や道路の側塀に植えられることが多い。転勤の時期に咲き乱れるので転勤花と呼ばれることもある。花言葉は、用心・油断大敵。

赤い夾竹桃の咲き誇る街路の向こうから、この蒸せる熱気をもろともしない、早足で少女が並んでやってくる。しかも、二人は聞き取れないほどの早口で、まくし立てるように奇声をあげている。その会話のあまりににもスピードに、バス停に汗を拭きつつぼんやり立つ私は怖じ気づいている。


二人が私の前に来たとき、二人は路面を見て、電光石火、「きゃっ」と叫び、少女の一人が投げた早口が忘れられない。「すげえー。儚い。尊い。」

宇宙人のような少女の「すげえ」という一言の後に続いた「儚い」「尊い」 想定外の言葉が新鮮だった。スピードを落とすこともなく、話題を次に移し私の前を早足で少女たちは過ぎ去り、あっという間に遠景となった。
少女が驚いた路面に近づいた。墜ちた蝉の死骸に向かって、蟻が行列をつくっていた。

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「すげえ。」「儚い。」「尊い。」
いやあ、あの娘たちが発した言葉が強く焼き付けられた。スマホを取り出し、蝉の死骸を写真におさめた。頭上には赤い夾竹桃。2014年の夏の思い出。

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2014年08月03日

●きっと、うまくいく

キキョウ(桔梗)/キキョウ科キキョウ属の多年草。日本の他、中国、朝鮮半島などの東アジア全域に分布する。根を薬用(咳止めなど)にすることが中国から伝えられ広まったのではないか、といわれている。「万葉集」で山上憶良の歌「秋の七草」に登場する朝貌(あさがお)の花はキキョウではないかといわれている。なぜなら万葉の時代にはアサガオはまだ渡来していなかったから・・・。花言葉は変わらぬ愛、誠実、熱心。青紫の桔梗の花言葉は 「友情」。

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 数少ない友人の中で、「親友」と呼べるのはH君くらいかもしれない。先日、Hの再就職を祝うために久しぶりに酒を酌み交わした。その席で教えてもらった「インド映画・きっとうまくいく」にすっかりはまってしまった。先の見えない青春時代、そこをなんとかのりっきていく気概をこの映画は呼び起こしてくれる。「元気がでるぞ」という言葉通り、忘れていた、はつらつした気持ちを取り戻させてもらった気がする。60歳代を生きていくうえでも前向きな姿勢になれる。

 職場で、私の息子と同じくらいの若手社員が、「燃えつき症候群」と診断され、休養に入るよう宣告された。食事に誘うと、快く応じてくれた。決して人づきあいが得意そうもないその不器用な仕事ぶりに好感を持っていた。なんとか、「ガス欠」を克服してもらい、一緒に、仕事したいものだと思わせる、地味だが確かな可能性を秘めた若者だ。
西新宿の路地を入った小さなレストラン「グラナダ」で静かに酌み交わした。このレストランとはもう25年近いつきあいになる。落ち込んだ時、ここにくればなんとかなったものだ。ゆったりとした時間の中で漂いながら、いつのまにか、前のことを考えるようになっていた。客は我々二人だけ、女主人が1900年製のオルゴールを聞かせてくれた。彼がくつろいだ気分になっているのが心地よかった。
別れ際、映画「きっと、うまくいく」のDVDを手渡した。彼からは上品な箱に入ったクッキーをもらった。

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 別れた後、路地に咲く桔梗が涼しげに揺れている。花言葉は「友情」。こうした機縁があるから面白い。

●夏の一日花に朝の挨拶

<strong>サルスベリ(百日紅)/ミソハギ科サルスベリ属の落葉低木。原産は中国南部。日本には江戸時代に渡来した。一年以上たった幹の表面はすべすべして滑らか。猿の滑り落ちるというところからこの名がついた。
 夏、6弁の紅花が円錐に咲く。花弁にはちりめんジワがあり、果実は球状になる。花は朝開いて夕方には落ちる一日花だが、つぎつぎにr蕾をつけて途絶えることなく咲き続ける。夏の間、百日にわたり花が咲くので百日紅ともいう。花言葉は雄弁、愛敬。

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真夏の朝のラジオ体操は格別だ。ふしだらな昨夜の醜態をこの規則正しい清風のラジオ体操で吹き飛ばし、何食わぬ顔してまた新たな一日を始める。 今朝、思いっきり胸を反らせて見上げた空に、百日紅のピンクが一つ、私の真上にあった。それだけで愉快になるから、当方、実に単純である。
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朝咲き誇り、こんなにも愉快にさせてくれた豪華絢爛な花弁も夕方には落ちて消えてしまう。そうして、次々と朝咲く後進の花の行列は真夏の百日続く。
 今朝の私を照らしてくれた一瞬の絢爛。しっかりと撮影し、その出会いを記録しておこう。この一房にこんなに注目したのは私だけであったと密かに自負するためにも。
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